一時期、カザフスタンのマイニング業者が、日本で大々的なプロモーションをおこなっていましたが、ロシアのマイニング業者はあまり国内では知られていません。
そのような中、コインデスクの記事に、ロシアの状況が詳しく説明されていましたので、その情報を元に少し深堀していきたいと思います。
ビットリバーについて
まず最初に出てくる、ビットリバーという会社について。
ロシア最大規模のマイニング企業ビットリバー(BitRiver)も4月、アメリカの制裁の対象となった。
コインデスク
この会社は日本語のメディアに登場するのは、ほぼ初めてかと思います。
場所ですが、ロシアのブラツーク市にあるようです。かなりモンゴル寄りです。
ブラーツクはロシア連邦の都市。バイカル湖の西側、イルクーツク州の中部に位置する。人口は246,319、243,900人。在留邦人は僅少。
ウィキペディアより
Webサイトはこちらです。

早速、Aboutというページを除いてみると、次のように紹介されています。
- 2017 年に Igor Runets によって設立
- 暗号通貨エコ マイニング、データ管理、ブロックチェーン、
- AI 運用のためのホスティング サービス
- ターンキー ソリューションを世界中の機関投資家に提供
- BitRiver は、ロシアの 3 つのオフィス
- 世界中の販売拠点で 300 人を超えるフルタイムのスタッフを雇用
- 余剰水力発電のみを利用
ダムの写真が掲載されていることから、水力発電を使っていることが分かります。

次に、Why usというページを除いてみると、次のように紹介されています。
施設について
- CIS(ソビエト時代の独立国家共同体) で最大のマイニング データ センター
- 創業者は 10 年以上にわたってデータセンターを大規模に運用
- 現在、データ センターで約 75,000 台のデバイスをホスト
- さらに約 100,000 台のデバイスを接続するための空きスロットがあります。
その他
- 在庫のあるスペアパーツを備えた社内修理センターを持つ
- 24 時間年中無休の統合された機器監視および修理システム
- 24 時間体制で警備員を配置
とあります。
ちなみに、日本だとせいぜいセコムと契約くらいまでですが、ロシアでは武装した侵入者が多いらしく、マシンガンを持った警備員を配置していることが多いそうです。ここはどうか知りません。
グリーンエネルギーについて
グリーンな電力を使用することについては、充分に配慮されているようです。
2021 年 6 月、低炭素アルミニウムと独立水力発電の世界最大の生産者である En+ Group と、2021 年から 2022 年の間に 100 万件の国際再生可能エネルギー証書 (I-REC) を購入する契約を結びました。
https://bitriver.farm/en/esg
En+ Groupとは、世界最大の低炭素アルミニウム製造会社であり、世界最大の民営の水力発電会社だそうです。
アルミニウム製造も大量の電気を使うので、自前で水力発電所を持っているということでしょうね。
ロシアのマイニングマシン販売会社
コインデスクの記事では、ロシアのマイニングハードウェア会社も紹介されていたので、リンクを貼っておきます。
チクルート社について
Chilkoot は、IT Holding 3 Logic Group の一員であり、暗号通貨マイニング用機器の販売におけるロシア市場のリーダーです。 当社は、ロシア連邦および EAC 関税同盟の国々におけるマイニング機器の主要メーカーである Innosilicon、Bitmain、Micro BT、および Avalon の公式正規代理店です。

Antminer S19j Pro104TH/sが、348,640ルーブル(=816,488円)となっています。価格が更新されていないのだと思いますが、高いですね。
ドイツのMIEATEC
コインデスクの記事では、ロシアを拠点にするドイツのマイニング会社、MEATECも紹介されています。

電気容量は、110メガワットもあるんですね。世界基準では普通かもしれませんが、日本の感覚だととてつもなく大きいですね。
現在ホスティング容量は110メガワットで、その内の40メガワットが使われているが、年末までに、あと60メガワットも使われるようになる予定だと、MEATECの共同創業者兼CEOダン・ハース(Dan Haas)氏は述べる。
https://www.coindeskjapan.com/160741/
MEATECは、ジョージアで2019年に設立されたようです。
MEATEC LLCは、MeaTec UGの後継として2019年に設立されました。 私たちの会社はジョージア (アジア) にあり、
https://meatec.io/about/
ただ、オフィスはジョージアですが、電力会社はIrkutskenergo(イルクーツクエネルゴ)と契約しているということですから、シベリアで水力発電によるマイニングをしていると思われます。
イルクーツクエネルゴはは、ロシアの電力会社。主にバイカル湖、アンガラ川沿いのイルクーツク、ブラーツク及びウスチイルミスクに水力発電施設を持つ。
https://ja.wikipedia.org/
アイルランドのSummit Mining
コインデスクの記事には、アイルランドに拠点を置き、フランスの顧客を主な取引相手とするマイニング企業サミット・マイニング(Summit Mining)も紹介されています。

Summitのチームについては、
- 創設者マシュー・ヴィンセント(Mathieu Vincent)
- CFOはタティアナ・ヤキム(Tatiana Yakim)
- 2019 年にSummit Mining を立ち上げた。
- 2021年までに暗号通貨マイニングのヨーロッパのリーダー企業になった
- サービスは15 人のチーム
- 4,000 人以上の顧客にサービスを提供
- 日本のSBIもビットリバーでマイニング(現在は撤退)
と説明されています。
ロシアのイルクーツクと、クラスノヤルスクにあるファームが、世界中で同社が展開する20,000台のマイニング機器の40%をホスティングしているそうです。
20,000台で40%ということは、世界中で50,000台ということですね。
先述のビットリバーが75,000 台ですから、それに匹敵する規模ですね。
SBIのマイニング会社はロシアから撤退
SBIのマイニング子会社、SBI criptも、ビットリバーでマイニングしていたようですが、撤退したそうです。
SBIホールディングスは、戦争が始まった直後にシベリアでのマイニングを停止したと広報担当者は述べた。これにより、同社の暗号資産事業は、6 月 30 日までの 3 か月間に 97 億円 (7200 万ドル) の税引前損失を報告しました。グループは、この期間に 24 億円の純損失を記録しました。 10年ぶりの四半期損失だ、と彼は言った。
ジャパンタイムス英語版
SBIはASICも自前で開発していたと思いますが、マイニングファームは自前ではなかったのですかね?
ソフトバンクグループのSBIのマイニング事業については、非常に謎めいていて分からないことばかりなので、詳しい方は情報をお寄せください。

ロシアのBitCluster
ビットリバーや、サミットに比べると規模は劣りますが、BitClusterという企業もあるようです。
BitCluster(ビットクラスター)
- ロシア暗号産業協会RACIB のメンバー。
- 2017 年からロシアで運用
- ロシアの 4 つの異なる場所にある 20,000 を超えるマイニング デバイスを運用
- アンガルスク
- イヴァノヴォ
- ノリリスク
- ハンティ・マンシースク
- クラスノヤルスクの施設が開発中 (230 MW)
ロシア暗号産業協会RACIB
BitCluster(ビットクラスター)の記事で、「ロシア暗号産業協会RACIB 」(Russian Association of Cryptoindustry and Blockchain (RACIB))という組織が存在することがわかりましたが、Webサイトは見つかりませんでした。
まとめ
ロシア最大手のビットリバー(BitRiver)が、ロシアの戦争によりアメリカの制裁の対象となったこともあって、ヨーロッパやアジアの投資家が解約するケースもあるようですが、大規模なパニックにはなっていないようです。
弊社にも、ロシアや中国で使えなくなったマイニングマシンを買わないか?という問合せがときどきあります。
今のところお受けしたことはないですが、今後そのような対応も検討していきたいと思います。
もしお困りの方がいらっしゃましたらご連絡下さい。