廃業・倒産するマイニングファームの特徴とは? – マイニングマシン買取

廃業・倒産するマイニングファームの特徴とは?

何をしたら失敗するのか

弊社では、2018年からマイニングマシンの買取をおこなっておりますので、かなりの数のマイニング事業者とお付き合いさせて頂いております。

3年以上、事業継続している会社もあれば、短期間で消えていった会社もたくさんありました。

消えていった会社を思い起こしてみると、どちらも非常に似た傾向が見て取れます。

同じような、環境から出発し、同じような経営判断をしていたように感じるのです。

野球の故野村克也氏は、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」という言葉を残していますが、ビジネスでも勝ち残った会社の原因は説明できなくても、負けた会社の原因は説明できるような気がします。

そこで今回は、失敗に焦点を当てて、何をしたら失敗するのか、というのを分析してみたいと思います。

ちなみに弊社はマイニング機器売買業であって、マイニングファーム運営会社ではありません。

そのため、まったく外から見ただけの分析ですが、弊社のような中間業者はかなりの情報が入ってくるため、何か役に立つところがあるのではないかと思い、執筆させて頂きます。

マイニング専業の会社は難しい?

さて、この2018~2021年の3年間、小さいところから大きいところまで約120社ほど買取の依頼をお受けしました。

そのうち(以下、取引台帳から数字を拾ったざっくりした集計)、マイニングマシンの売却の理由として、

10%がマシンの買い替え
20%は倒産廃業
30%は事業撤退
5%は大家・不動産会社の残置物処分
35%は理由不明

といったところでした。

理由がはっきりしているうち、2番目に多い「倒産廃業」は、ほとんどがマイニング専業の会社です。

2018年の仮想通貨バブル、ICOバブルで一儲けした方々が、マイニング専業会社を立ち上げ、バブル収束と共に事業計画が破綻し廃業というケースです。

このバブルのころに設立されたマイニング会社は、ビットコインが100万円~150万円、イーサが5万円~10万円くらいの価格を維持していれば収益が出るという収支計算をしていたようです。

しかし、2018年11月にビットコインが50万円を切り、12月には40万円を切るとなった段階で、次々と店じまいをしていきました。

マイニングファームの場合、自社のマシンだけを運用しているところは自分が損するだけですが、投資家からマシンを預かったり(ホスティング)、資金を集めてマシンに投資していたところは、大変だったようです。

弊社と取引があったファームの経営者の方々は、ほとんどはまともな方々で、マシンを返却したり、マシンを売却した金額で投資家にお金を返していたようです。

一方で、マシンを持ったまま海外に逃げたり、マシンの売却金を自分の懐にいれて海外に逃亡したファーム経営者も多かったようで、裁判沙汰になっているケースもあったようです。

副業(新規事業)として始めたマイニングで成功しているケース

という訳で、2018年当時のマイニング専業会社は、かなり悲惨な結末を迎えましたが、副業(新規事業)としてファームを運営したいたところは、いまだに会社は存続しているケースが多いです。

2018年12月ごろは、日本では全く利益を出せなかったので、一気に海外に拠点を移し、淡々とファームへの投資を続け、現在では巨万の富を築いた方もいらっしゃるようです。

このような会社の場合、もともと金融やITに関係した会社は少なく、異業種からの参入が多かったです。

非常に多い、再生可能エネルギー事業者のマイニング

特に多かったのは、太陽光発電など再生可能エネルギーの会社です。

これは、FIT終了への対策として、国に売れなくなった電力をマイニングに回そうという発想です。

(FITは固定価格買取制度といい、再生可能エネルギーによってつくられた電気を東京電力などが高く買い取るという制度です。この制度が終了するのが2019年からでした)

この場合、結構上手くいっているケースがあります。

マイニングで収益を出すには、電気料金をいかに抑えるかというのが大きな課題になりますが、太陽光発電事業者は自分で電気を作れるので、収益を確保しやすいのだと思います。

不動産業によるマイニング

次に多いのが不動産業で、自社が所有する空き部屋や物件をマイニング工場にしてしまおうという発想です。

人に貸して賃料を得るより、マイニングした方が利益が出るのではないかと考え、参入してくるケースがあります。

この場合は、ビルや工場への投資金額は抑えられても、ランニングコスト、つまり電気代を頭に入れてないことが多く、失敗するケースが多いようです。

自社のノウハウやリソースを生かしてマイニング

それから、データセンター運営会社も、自社のノウハウを使ってマイニングをしているケースがあります。

メインは、GPUデータセンターとして、レンダリングや、ディープラーニングの計算をおこなっているのですが、ファームの一部をマイニング用に整備して、イーサなどを掘っているケースがあります。

他には、中国向けの貿易をされている会社でも、マイニングされているケースが多いです。

中国の取引先から薦められて、中国・四川のファームなどにマイニング投資をされている方がいます。

そもそも中国では日本と違って、マイニング投資は比較的メジャーです。

いわゆるコンピュータに詳しい人間だけの世界ではないので、不動産投資などと並列考えているようです。

また、飲食業などもマイニングを副業にされている方が多いです。こちらも日本国内だけでなく、海外にお店を持っている方が、人脈を通じて、中国などでマイニングしているケースが多いようです。

中小企業経営強化税制を利用した節税のためのマイニング

その他、美容院チェーンや、人材派遣、老人ホーム経営、産廃業者などでもマイニングされているケースがあります。

この場合、本業がかなり成功していて、余ったお金をあちこちに投資していて、そのうちの一つにマイニングがあるといった感じです。

正直なところ、あまりマイニングで儲かっているケースは少ない印象です。

むしろ、中小企業経営強化税制を利用した節税を目的としたところが多いのかもしれません。

中小企業経営強化税制ですと、一括償却ができます。

普通でしたら、利益が5,000万円出たら法人税を1500万円払わなければいけません。

しかし一括償却を使った場合、5,000万円のうち4,000万円をマイニング費用とすれば、利益は1000万円になるので法人税は300万円になる=つまり1200万円節税できるといった仕組みです。

以下、マイニング事業をおこなっていることが多い業種をまとめてみましたのでご覧ください。

  • 太陽光発電事業者
  • 不動産業
  • データセンター
  • 貿易業
  • 投資顧問業
  • 経営コンサルタント
  • 飲食業
  • 美容院
  • 老人ホーム経営
  • リサイクル業
  • 産業廃棄物処理業
  • 建設業
  • パチンコ店

以上が、マイニングを副業としておこなっている業種ですが、本業をしっかり持っていても、本業の経営が低迷した状況で、一発逆転を狙ってマイニングを始めたような場合はやはり失敗に終わっているようです。


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P.S.マイニングファームの物件も探しております。キュービクル付きの物件がございましたら、お知らせください。