仮想通貨マイニングの一番のコストは、電気代です。
基本的に、電気代が安い国、地域でマイニングをする方が良いとされています。
日本の電気代は1kWh:25円くらいですが、中国なら8円~、ロシアや中央アジアなら4円、5円~です。
実際、これらの地域でマイニングは盛んです。
日本でマイニングファームというと、1000台、2000台が上限なのですが、海外にいくと1万台、10万台という規模でマイニングしているところがたくさんあります。
アメリカや南米でもマイニングが盛んらしいのですが、個人的にはそちらの方面はあまり詳しくないので、アジア方面について書きたいと思います。
中国のマイニングファーム
中国では表向きマイニングが禁止されていますが、実際はかなり盛んです。
ただし、政治的リスクは高いです。
政府も取り締まりを厳しくしたり、緩くしたりの繰り返しですので、長期的にマイニングできるかどうからわかりません。
とはいえ、マイニングマシンを作っているメーカー、Bitmain、Innosilicon、Cannan、Ebangは全て中国にあるので、マイニングの本場といったら中国で間違いはありません。
では、中国のどこでマイニングをおこなっているのかというと、北京や上海ではありません。
上海や香港から車で何日もかかる場所、四川省などのダム周辺に、大規模なマイニングファームがたくさんあります。
交通の不便な場所にあるのは、当局から見つかりにくくする理由もあるかもしれませんが、主な理由は電気代の安さです。
中国は、北京や上海でも1kWh:8円程度と安いのですが、ダム周辺になると5円を割るくらいになります。
ただし、6月から10月まで雨季を中心とした季節は安いのですが、秋から翌春の間は電気代が8円くらいになります。
そのため、電気代が安い地域に引っ越さないといけなくなるケースもあります。
この場合、引越コストがマイニングの収益を食い潰してきます。
尚、ダム電は水力発電なので、火力発電よりは電力が不安定です。
また、中国のファームでマイニングをしたいという方がいらっしゃいますが、方法としては2つあるかと思います。
一つは中国人の経営する大規模なファーム(1万台~10万台)を見つけて、マイニングマシンをホスティングしてもらう方法です。
何万台を管理しているので、1台、2台は預かってもらえません。
最低50台、100台、という単位になります。
コストは電気代に上乗せされて請求されます。
8円でマイニングしていたら、2円くらい上乗せされることが多いようです。
とはいえ、管理費が高いところは、サポートもしっかりしていて、スタッフも24時間体制で張り付いていたりするので安心です。
あともう一つの方法は、日本人が経営するファーム(300台~1000台~)をみつけて、ホスティングしてもらうケースもあるようです。
この場合でも、10台とかのボリュームは必要です。
モンゴルのマイニングファーム
モンゴルも古くからマイニングが盛んな地域です。
ただ、中国に比べると、色々と面倒な点がたくさんあります。
まず、モノが入りにくいという欠点があります。
中国からマシンを送っても、まともに税関を通らなかったり、通っても行方不明になったりします。
一番のネックは税関らしいのですが、何時間もかけて交渉したり、賄賂を渡して何とか通すそうです。
また新型コロナの時は、海外からのヒト、モノの流入は完全にとめてしまいました。
ヒトを止めるのは仕方ないと思いますが、何百万円もするマイニングマシンを止められたら、たまったもんじゃないですよね。
まだ手元に返ってくればいいですが、モンゴルで止められてしまったらどうしようもありません。
また電気代も中央アジアやロシアに比べると決して安くありません。
1kWhで最低8円~といったところで、ホスティング費用を入れると、10円は軽く超えてきます。
とは言え、日本よりは電気代がだいぶ安いということで、一定数の日本人がモンゴルでマイニングをしています。
モンゴルに知り合いがいるとか、現地にビジネスの伝手がある場合は、検討してみてもいいかもしれません。
ロシア、中央アジア(カザフスタン、キルギス、アルメニアなど)
ロシアでも昔からマイニングが盛んです。
理由は電気代が安いことと、寒冷地が多い為です。
寒冷地がいいのは、マイニングマシンは高熱を発するので冷却が必要なのですが、気温が低ければエアコンの電気量も最低限で済むからです。
ロシアやカザフスタンは、電気代が3円後半から、5円程度です。
ただし安いところほど、サポートが悪くなります。
また、ロシア等は経営者が信用できないケースも少なくありません。これはお国柄といったところで、日本みたいに大抵の人は善人という国とは全然違います。
さらに、マイニングマシンを狙った強盗も多いです。
管理がしっかりしたファームは、機関銃を備えた警備員を配備しているとところもあるそうです。
しかし、中小のファームではそこまで対応できていないのが実際です。
たくさんファームを見てきて感じること
弊社はマイニング機器のリユース業ということもあって、廃業した(失敗した)ファームをたくさん見てきています。
そこで気になる点として一点だけ補足します。
これは世界共通だと思いますが、儲かっているときは非常に対応もよかったファームが、仮想通貨の暴落(=マイニングの収益低下)で、急にサービスが低下するケースが多いというのがあります。
これは日本のマイニングファームでもよくあります。
理由は、スタッフが解雇されて手が回らないというのもありますが、経営者のモチベーションが下がって、だんだん仕事がいい加減になるというのもあると思います。
個人的に思うのが、マイニングファームを専業でやっているところは止めたほうが良いと思います。
別に、仮想通貨と全く関係のないシステム開発や、建設業、飲食業、病院経営などでしっかりとした経営基盤があり、副業としてマイニングをやっているという会社の方が安心して付き合えると思います。
日本でも2018年ごろ、マイニングファームが乱立しましたが、ほとんどがICOで儲けたお金をマイニングファームの建設に突っ込んだ、マイニング専業ベンチャーがほとんどでした。
それらの企業は、2021年の現在ほとんど残っていません。
以上、海外のマイニングから話が離れましたが、新しい情報が入りましたら加筆していきたいと思います。
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