マイニングの撤退戦略
あなたは、イーサリアムがマイニングできなくなったあとの準備を進めていますか?
弊社はこれまで何台もマイニングマシンの売買をおこなってきましたが、ほとんどのお客様がイーサリアムをマイニングしています。
そのイーサリアムですが、いよいよPOSに移行されて、間もなくマイニングが出来なくなると言われています。
早い方は、2020年ごろから撤退を始めている方もいらっしゃいます。
ですが、せっかく投資したマシンですから、できるだけギリギリまで収益を上げたいと考えるのが本音でしょう。
しかし、タイミングを間違えると、大きな損失が発生する可能性もあります。
具体的に言えば、使い終わったGPUが売れなくなる、という問題です。
今までは半導体不足もあり、中古のGPUは高く売れてきました。
しかし、イーサリアムのPOS化と同時に、大量のGPUが市場に流れてくるので、相場が大幅に暴落することが考えられます。
もし、あなたがまだイーサリアムをマイニングしているのであれば、撤退戦略は重要な課題です。
さらに撤退戦略のなかでも、リセール戦略(GPUをいつ売るか)が特に重要だと考えます。
RTX3070のようなGPUなら、ゲーミングで使えますので、まだ数年は無価値になることはないでしょう。
しかし、P104-100のような古いマイニング専用GPUだと、ほとんど無価値になると思われます。
またイーサリアム専用のASICだと、イーサリアムクラシックを掘るくらいしか使い道がなくなるので、リセール価値は大きく棄損されるでしょう。
ではこれから、どんなタイミングでそれぞれのマシンを処分していけばよいのでしょうか?
将来を見通す前に、これまでどんなスケジュールで開発が進められてきたのか、もう一度復習しておきましょう。
イーサリアムの歴史
イーサリアムの開発の歴史を振り返ります。これまで、
- フロンティア
- ホームステッド
- メトロポリス
- セレニティ
の4つの開発段階を経て現在に至っています。
最後のセレニティは「イーサリアム2.0」とも呼ばれています。
イーサリアムは、開発当初はPOW(Proof of Work)の暗号通貨として作られましたが、現在では取引の処理能力の向上と安全性の向上、消費電力の抑制などのためにPOS(Proof of Stake)へのアップデートを進めています。
その理由として挙げられるのがDappsにおけるユーザー数の増加です。これによって、手数料の高騰などが発生しスケーラビリティ問題として認知されました。
POWはコンピューティングパワーを用いて大量の演算を行うため、ブロックチェーン上のデータの改ざん等の際に莫大な費用が必要でした。
POSでは、対象の暗号通貨をステークすることでブロックを生成する権利が得られる(ミントされる)ため、コストを必要とせずブロック生成に要する時間も格段に速くなります。
POSの長所
POSとPOWはどちらもコンセンサスメカニズムといわれるアルゴリズムであり、ブロックチェーンがデータを同期して安全性を維持するのに役立ちます。
POSの長所としては、効率性、スループットの向上、参入障壁の低下などが挙げられます。
POSのシステムは、POWの操作よりもはるかに電力消費を抑えられるために、より効率的なものであると言えます。
多くのPOSのハードウェア条件は、今日の市場の平均的なノートパソコン程度であり、バリデーターとなるのにはそれほど条件が厳しいというわけではありません。
POSでは、POWのように複雑なパズルを解くことでブロック生成の権限を得るのではなく、保持しているトークンの量に基づいてブロック生成の権限が与えられます。
そのため、アルゴリズムが対象者を選択する時間がPOWよりも速く、トランザクションのスピードを上げることができます。
POSのバリデーターはステーキングに参加するために一度だけ料金を払う必要があります。
しかし、POWとは異なり、料金を払うだけで良いため、より手軽に参加することができます。
一方でPOSには以下のような課題も含まれます。
POSの課題
まず、巨大なプロジェクトはほとんどがPOWで動いており、POSはまだ大規模なプロジェクトがあまり見られません。
イーサリアムは現在POSへの移行作業を行っていますが、POSは全体的にPOWほど分散化、または安全化しているわけではありません。
また、セキュリティという面においてPOSは脆弱になってしまうことがあります。
ネットワークの参加者の参入障壁が低くなると、バリデーターの数は増えていくため、セキュリティの低下という問題を抱える可能性があります。
現在では、イーサリアムのライバルとしてSolana、Polkadot、Avalanche、Terraなどが台頭しており、イーサリアムよりも大きな成長を遂げています。
また、彼らは新しいユーザーをひきつけており、将来的にイーサリアムが生き残っていくには、なるべく早く進化していくことが求められています。
前述したプロジェクトは、安価な手数料で取引することができますが、イーサリアムはそうではありません。
POSへの移行を行いマイナーに依存することを廃止することで、イーサリアムの手数料を競合のプロジェクトと同じレベルまで下げることができます。
イーサリアムのスケーラビリティ問題の解決にはPOS移行に加え、シャーディングの実装によるスケーリング対策を行うことも重要です。
これらはイーサリアム2.0のアップデート計画として予定されています。
イーサリアム2.0のアップデート計画
イーサリアム2.0(セレニティ)にはいくつかのフェーズが含まれています。
それらは、「The Merge」「The Surge」「The Verge」「The Purge」「The Splurge」の5つのマイルストーンに分けて進めていく予定になっています。
Vitalik氏によると、イーサリアムは現時点で全体の50%ほどが開発を完了しており、残りの50%をこれから6年ほどかけて行うとしています。
最初のフェーズは実装済みで、ビーコンチェーンの稼働に関するアップデートとなります。
ビーコンチェーンは名前の通り、イーサリアムメインネットとは別のブロックチェーンです。
第二のフェーズではMergeと呼ばれるアップデートが予定されており、ビーコンチェーンとイーサリアムメインネットをマージします。
次のフェーズでは、イーサリアムのスケーリングにおいて重要な役割を果たすシャードチェーンの実装を行います。
最終的に、イーサリアムではPOWは廃止され、POSに移行するためマイニングは行えなくなる予定となっています。
しかし、現実にはPOS移行は、延び延びになっています。
その理由、背景はどうなっているのでしょうか?
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